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【コンテスト連続受賞の裏側】DF2024グランプリ・金森 慧のこれまでとこれから

金森 慧さん

2023年度卒業

2024年4月11日に、第29回「DIGITAL FRONTIER GRAND PRIX 2024」(2024年度デジタルハリウッド合同入学式/2023年度優秀作品クリエイティブアワード、以下DF2024)が開催され、デジタルハリウッド大学(DHU)の金森 慧さん、デジタルハリウッド大学大学院の遠藤 奈々さんがグランプリを受賞しました。

金森さんが卒業制作として制作した3DCGアニメーション『ORIGAMI』は、アジア最大級の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア」アニメーション部門 特別上映作品として選出され、世界最大のCGの祭典と言われている「SIGGRAPH Electronic Theater 2024」、「学生アカデミー賞」にも入賞した作品です。

『ORIGAMI』

https://vimeo.com/930105892
折紙は”切る”という破壊的な工程がなく、”折る”という”変形”だけで表現する興味深い造形手法です。一枚の正方形からあらゆる形状に変形し、どんな複雑な形状でも広げれば元の正方形に戻るという折紙の特徴は、土から生まれ そして土に還る、生命に比喩することができると考えました。この作品は、正方形の紙が様々な折紙の生き物に変形するフルCG映像で、大地から生命が息吹く様子を表現しています。

『ORIGAMI』だけでなく、DHU在学中に数々のコンテストで評価を受けてきた金森さんは、なぜコンテストに応募し続けてきたのか。制作にまつわるエピソードと合わせて話を聞きました。

デジタルに疎く、アナログでモノづくりを続けていた子ども時代

——金森さんはいつごろからモノづくりをするようになりましたか。

僕自身は覚えていないのですが、幼稚園に上がりたてのころから、何かを作りたい意欲があったようでした。母から聞いた話だと、まだ思い通りに手を動かせなかったので、ガチャガチャのカプセルと赤と白の紙を母に渡して「ポケモンのモンスターボールを代わりに作って」と僕がお願いしたそうです。

意欲的にモノづくりをし始めたのは、手を器用に動かせるようになってきた小学1年生からで、よく折り紙をしていました。折紙作家である神谷 哲史さんの超複雑系と言われる作品テレビでを見て、「うわ、すげえ!」と興味を持ったのがきっかけです。

最初は子ども向けの簡単な折り紙の本を真似して折っていましたが、小学4年生くらいからは、神谷さんの作品集にある鳥やドラゴンなどを全部折ることを目標にしたり、自分でデザインを考えて折ったりして遊んでいました。

——自分でデザインを考えるというと?

今まで身につけてきた基本形を応用して、折り方や完成形を自分で考えるんです。

たとえばツルは首・両翼・尾という4つの角で成り立っています。簡単に言ってしまうと、その基本形から角の数を増やして、どこに、どんな角を配置するかを決める。角を8本に増やして、その内の6本を足、2本を大きなアゴにしたらクワガタになりそうだ、という発想をしていきます。

小さい頃から洋画が好きだったので、『ハリー・ポッター』や『スター・ウォーズ』に出てくるキャラクターや乗り物などの折り方を考えて、自分で作っていましたね。

ただ、それは放課後や休みの日にしていたことで、学校の休み時間にはサッカーやバスケをしていて、自分が作ったものをあまり友達に見せてはいませんでした。

——中学や高校で打ち込んだことはありましたか。

バスケットボールや楽器などいろいろありますが、特に印象に残っているのは書道です。中高一貫校で、生活している中で自分が感じたことなどを書道で表現して共有する時間が、6年間毎週あったんです。

巧拙を評価されるわけではなかったので、周りの人はササッと数枚書いて終了。ですが僕は完璧主義だったので、思うようにコントロールできない筆と戦って、毎週渾身の1枚を仕上げる。それを繰り返していたら上達していきました。

——その「アナログなモノづくり」の世界が、DHUで3DCGを学ぶことにつながっていったのですね。転機はありましたか。

YouTubeでBlenderという無料の3DCGソフトを見つけたことから、CGに興味を持つようになりました。

もともとアナログ人間でデジタルには疎かったのですが、Blenderなら『ハリー・ポッター』の呪文や『スター・ウォーズ』のライトセーバーのような、映画的表現ができるようになるかもしれない。そう思って試しに触ってみると、「これまで折り紙をやってきたことが、CGに出会うためだったのか」と思うくらいの衝撃でした。

——どのような点でそう感じましたか。

3DCGの数学的に立体を捉える感覚が折り紙と似ていることに驚きました。また、折り紙も書道も、自分の手で折ったり書いたりするので、100%完璧には作れないじゃないですか。90度に折ろうとしても微妙にずれてしまう。でもBlenderのようなソフトであれば、数値入力で完璧にぴったり作ることができると気づいたんですよね。その魅力に惹かれて、動画コンテンツを教材にして自分でCG作品を作るようになっていきました。

約100ヵ国から数千作品が集まる「Rookie Awards」で賞をもらうのが、DHU在学中の目標

——進学先としてDHUを選んだのはなぜでしょう。

CGに出会ってからは、これを仕事にしたいと思って大学を探していました。それでDHUを見つけて、サマー・トライアウト(現・オータム・トライアウト 総合型選抜)の特待生選考作品型を受けました。

——入試は大変でしたか。

正直そこまで大変だった記憶はなくて。折り紙や書道、CG作品など今まで作ってきたものをまとめて提出し、それを評価していただいたので、モノづくりを続けてきて良かったと思っています。

——金森さんは在学中、数々のコンテストを受賞されていると伺いましたが、何年生からコンテストに応募していましたか。

最初に応募したのが2年生のときで、「ステイホームVFX」というCG WORLDとデル・テクノロジーズ主催のVFXコンテストに応募しました。

「ステイホームVFX」では、自宅で撮影しており、かつCG・VFX技術が使われていることが応募できる作品の条件。そして、#STAYHOMEVFXというハッシュタグをつけて、Twitter(現・X)に動画を投稿するだけでエントリーが完了するというものでした。

1年生のときに受けたVFXの授業で作った作品が、ちょうど応募条件と一致していたこともあり、せっかくだからコンテストに参加してみようと思ったんです。そうしたらツイートに1,000以上のいいねがついて、学生部門の2位をいただきました。

もともとSNSをしないタイプで、作品を積極的に世に発信することはしていませんでしたが、このとき初めて、自分の作品で人々を喜ばせることができるんだと気づきました。

——そのほかに応募したコンテストで、印象に残っているのは?

4年生のときに、「Rookie Awards」で入賞できたのは印象深いです。約100ヵ国から数千作品が集まる、世界中のアートスクール生にとって登竜門的なコンテストなのですが、DHUに入る前からこのコンテストの存在を知っていて、ここで賞を獲ることを目標にしていました。

書道と流体シミュレーションを融合させたショートムービー『舞』を提出し、結果はベスト8入賞。1位や2位ではありませんでしたが、海外のCG業界で働きたいと思っていた自分にとって、大きな一歩になりました。

ほかにも、ハリウッドのCGアーティストが主催する「三次元無双」というCGコンテストの動画部門に応募しました。同級生と合作したCGアニメーション『Tomatoes』が3位で、『舞』が1位。

魅力的だったのが、優勝賞金とは別に、副賞として主催者に就職活動について相談できる権利を獲得できたことです。今まで詳しくイメージできていなかったCGアーティストの実態について詳しく聞くことができ、自分の進路についてさらに真剣に考えるきっかけになりました。

——金森さんにとってコンテストに応募するモチベーションとは?

賞をもらうのもモチベーションのひとつですが、作品を人に見てもらいたい気持ちが強いのかもしれません。

作品によってはTwitter(現・X)で1,000万回近く再生されたり、テレビで紹介されたりすることもありました。多くの媒体で取り上げてもらうことで、業界の人にも届いたら良いなという気持ちで、コンテストに応募しています。

DHUでグランプリを獲れないようでは、海外で通用しないという気で卒業制作に取り組む

——金森さんはDF2024で、ご自身の卒業制作について「折り紙の本物を表現、再現することに挑戦した作品」と紹介されていました。どんなことを考えて制作に挑んだのか教えてください。

自分が初めて手を動かし、小学校のころから打ち込んできた折り紙と、現在学んでいるCG技術を融合させることは、自分にとって深い意味があります。

思い入れが強く、折り紙のことを人並み以上に理解している自負があるため、既存の映像作品の中で折り紙が適切に表現されていないことに、もどかしさを感じていました。

たとえば、山折り・谷折りなどのシンプルな折り方以外にも、ツルの頭の部分の折り方である中割り折りや、広げてつぶしたり、ずらしてつぶしたり、複雑な折り方を表現している映像作品を見たことがありません。折り紙の「折る」という行為を省略して、折る前の形と折った後の形をすり替えるような表現をする作品もありました。

また、折った分だけ厚みが増すはずなのに、折った後にペタンとなってしまっていて、ごまかしてばかりの表現に腹を立てていまして…..(笑)。それなら僕が挑戦してみよう、そんなモチベーションで『ORIGAMI』の制作を始めました。

折りることによって生まれる「厚み」や「丸み」を実現してくれた金森さん

——いつから制作を始めましたか。

4月からMayaとHoudiniというCGソフトで技術的な検証を始めて、秋から本格的に制作を始めました。折る行為をCGで表現しようとすると、結局は面の回転移動であるため、異なる面を折重ねようとすると、ペタッとしたただの1面になってしまうんです。

今回はツル、ユリ、アヤメのような一般的に知られている折り紙だけでなく、オリジナルのキャラクターも折り紙で表現しようと思っていて。複雑な折り方を表現しつつ、現実に即して折り重なっているように見せるため、自然な厚みを作るようにモデリングとシミュレーションを続けていきました。

——卒業制作を通じて、得られたことや感じたことはありましたか。

日本舞踊を踊っている女性のキャラクターは、実際に自分の手元で正方形の紙を折ってデザインし、それをCG化して踊らせたものです。自分の考えた折り紙のキャラクターが動いているのを見られて、作品を作っている時点で夢が叶ったような感覚になりました。

また小学校のころから、自宅でも、親との外出時でも、姉の学校のイベントでも、いつでも15cm四方の折り紙を携帯して、暇さえあれば折る生活をしていて。

中学生になってからは折り紙から離れ、書道やバスケットボールなどいろんなことをやっていましたが、大学4年生になってまたリュックに折り紙を入れて、いつでも折り紙を持ち歩く生活が始まりました。1周回って子どものころと変わらない僕を見て、親が嬉しそうにしていたのは印象的でしたね。

——DF2024では映像部門のベストアニメーション賞を受賞し、グランプリの受賞がその場で決定しました。壇上ではあまりびっくりされていないようでしたが、いかがでしたか。

実は4年前がコロナ禍だったため、新入生としてDF(デジタルハリウッド合同入学式/前年度優秀作品クリエイティブアワード)に参加できなかったんです。DFで卒業生の作品や卒業生が表彰されている様子を見て、新入生が自分の4年後をイメージすると思うのですが、僕自身はDFに対してそんなに思い入れがなくて…..(笑)。

もちろんグランプリをいただいて嬉しいのですが、僕の目標はあくまで「Rookie Awards」を獲ること。世界中のアートスクールに通う学生のトップを目指していて、海外でも通用するアーティストになろうとしているのだから、大学で1位になれなくてどうする、というマインドで制作していました。

フリーの映像作家として、自分の作家性を活かせる道を模索中

——金森さんの今後の展望を教えてください。

今はどこかの会社に所属しておらず、フリーの映像作家として活動しています。業界の人から声をかけていただくことがあって面白いプロジェクトに取り組めそうなので、自分の作家性を活かしながら仕事をする道を模索していきます。

これから『ORIGAMI』をSNSで一般公開するのですが、映像業界だけでなく、折り紙のコミュニティでも多くの人にこの作品を見てもらえたら嬉しいなと思っています。

——最後に、DHUの在学生へメッセージをお願いします。

僕の周りには、CGの技術的な検証を熱心にしているのに、作品を表に出さない人がわりと多かったのですが、なんとなくそれはもったいないと思ってしまいます。

ひとつの作品として仕上げ、完成しきってから表に出す。実験的に作ってみたという積み重ねよりも、作品として作りきった経験の方が大事だと思っているため、もしまだ自分の作品を世に出したことがない人は、誰かに見せることを目標にして作品を作ってみてほしいです。

デジタルハリウッド大学は、デジタル分野の専門スキルを幅広く学びながら、これからを未来を作る皆さんの挑戦を後押しします。カリキュラムや卒業生についてもっと詳しく知りたいという方は、下記リンクへどうぞ!

デジタルハリウッド大学HP
https://www.dhw.ac.jp/
デジタルハリウッド校友会(卒業生インタビュー)
https://dhaa.jp/interview

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